映画レビュー

「聖の青春」を観ると健康で生きていることに感謝できる

こんにちは。

今回は「聖の青春」という映画をレビューします。

どんな映画?

タイトルにある「聖」は、この映画の主人公となる将棋の棋士です。

「さとし」と読み、実在した村山聖氏将棋の棋士がプロになるまで、更に棋士として色々と葛藤しながら戦い続けた姿を描いた作品です。

実話に基づいたお話

その聖は幼い頃から重い病を抱えていました。

それを分かった上で過酷な将棋の世界に挑戦する姿と、病気を気遣いながら最後まで共に寄り添った師匠の森信雄氏との関係に感動を覚えました。

その師匠も実在の人物で、他の登場人物にも実在の棋士が登場します。

私も村山聖氏を生前にテレビ棋戦で見たことがあっただけに、このような人生を歩んでいたのだと改めて分かったのも大きな収穫です。

若くして病気で亡くなった天才棋士ということくらいしか知りませんでしたが、映画なりの演出が加えられているにせよ、ノンフィクションとしての公開なので、とても見ごたえのある映画でした。

各配役の演技もとてもよかったです。

将棋そのものより、村山氏の人生そのものを描いた作品なので、将棋はあまり知らないという人にも分かりやすい内容になっています。

あの羽生善治氏に匹敵するほどの実力の持ち主だったと言われるこの棋士の生涯を、多くの人に見てもらいたいと思います。

病を抱えながらもプロとして戦い抜いた聖

病を抱えながらも将棋を志し、無事プロになることができた聖ですが、その病気の為に順風満帆とはいかない棋士としての生活でした。

プロ棋士になった以上、甘えることは許されず、時には病気の為に対局を欠場することもあり、それでも必死に戦い続ける姿から、何かを言い訳にしてはいけないということをこの映画から学ばされました。

それが例え病気のような本人にはどうしようもないものだとしても、言い訳にはならないというプロの世界の厳しさも教えられました。

また、そんな世界でも、特例として休場による降格が免除された場面があり(実際にもそうだったらしいです)、現実と向き合って頑張っていれば、きちんと見ていてくれる人も居るということも同時に描いているのだと思いました。

将棋世界の描写もリアル

先のようにノンフィクション作品なので、過剰に見える演出はともかく、将棋の世界の仕組みについての描写もかなりリアルです。

プロへのなり方やその後について、将棋が全くわからない私でも理解がしやすく、大変な世界だと改めて分かったのも収穫です。

将棋というボードゲームで戦うだけの職業とも思われてしまいがちな将棋棋士の世界ですが、それを少しでも垣間見ることができる貴重な作品でした。

「生きている」ことの重み

この映画でプロになった後の聖の最大の目標は、「生きる」ことでした。

将棋の棋士であれば、誰でも竜王や名人といった大きなタイトルを獲得するという夢をもつものでしょう。

ですが、彼の場合、都度相手となる棋士だけでなく、病との戦いも大変なものだったので、何より「生きる」ことが目標だったという点には目頭が熱くなりました。

将棋に勝てないことで悩んでいる棋士に対して、そんなものは悩みのうちに入らないと言い切ってしまい(彼からすると、本当に大したことではないと思ってのことです)、喧嘩になるシーンがありました。

「生きる」ことが難しい人からすると、自分の普段のプライベートや仕事における悩みなど、本当に小さいものなのだと気付かされました。

どんなことがあろうと、人間は生きていてこそだと分かる作品で、それこそがこの映画の最大のテーマなのだとも思えます。

「生きる」ことからすると、その他のどんな悩みも実につまらないものです。

本人にとっては大変な悩みだったとしても、生き死に関わるようなものではなければ、そんなに深く考えることもないとこの映画を通して教えられました。

生きられなかった聖の無念

何より、これだけの棋士が病で30歳を迎えることなく亡くなってしまったのは大変ショックです。

タイトルにある「青春」とも無縁で、「生きる」こともできなかった彼の無念さが深く伝わってきました。

 

この映画は、将棋ファンはもちろんのこと、人生ドラマとしても素晴らしい出来の作品だと思います。

幼い頃から病を抱えながらも天才的な将棋の能力を開花させ、プロになったところまではよくあるサクセスストーリーのようにも見えますが、そこからが彼の本当の戦いになります。

時には高熱の出ている中を対局に向かうシーンがあり、彼のような病を抱えていない人には、どうしてそこまでするのか分からないような場面もいくるか登場します。

そういったシーンから、何より「生きる」ことが一番の目標で、誕生日の度に「また1年、無事に生きられた」と嬉しそうにする聖の姿は、何か悩みがあるという人に是非見てもらいたいです。

悩みがある人に観て欲しい

何か悩みがある人も、この映画を見ると、「生きる」ことと比べれば、それがどれだけ小さいものなのかを気付かされることでしょう。

その人にとっては、それに匹敵するほどのすごく大変な悩みだという場合もあるでしょう。

ですが、幼い頃から常に病気と戦い続けた彼の姿は、そのような人にもとても勇気を与えてくれると思います。

 

彼の実在の師匠だった森信雄氏は、この映画を劇場公開中に数回見に行ったと言っています。

自らも登場し、かつて愛弟子だった聖の人生がしっかり描かれていると絶賛しており、ノンフィクションならではの迫力も魅力です。

 

あなたも、ぜひ映画『聖の青春』を観てみて下さいね。